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マウスピース矯正はどれくらい痛い?

カテゴリ: 矯正歯科

マウスピース矯正はどれくらい痛い?

私は東京医科歯科大学の歯周病専門外来にて、難症例を含む幅広い治療の研鑽を積み、その後は都内歯科医院にてお子さんからご高齢の方まで多くの患者様のお口の健康づくりをサポートしてまいりました。

患者様一人ひとりの症状やご希望に合わせて、あらゆる治療の選択肢をご提案し、心から納得していただける治療法をお選びいただけます。神保町ミセ歯科・矯正歯科は、患者様との信頼関係を大切に築きながら、ドクター・スタッフともに一丸となって、あなたの健康を末長く支えてまいります。

マウスピース矯正はどれくらい痛い?

マウスピース矯正をしたいけれど「どれくらい痛みがあるのかが心配」という方もいるのではないでしょうか。
矯正治療は長い期間をかけて行うものですし、マウスピースはほとんど一日中装着していなければならないため、耐えられないほど痛むようでは困りますよね。 結論をいうと、マウスピース矯正の痛みの程度は、人によります。痛みの原因もいくつかあり、どんな痛みがあるかもそれぞれ異なります。
本記事ではマウスピース矯正による痛みの程度や原因について解説するほか、軽減方法についても紹介します。
これからマウスピース矯正を考えていて、痛みについて不安に思う方は、ぜひ参考にしてください。

    マウスピース矯正はどれくらい痛いのか?

    マウスピース矯正はどれくらい痛いのか?
    マウスピース矯正による痛みの程度には個人差があります。 しかし、歯にかかる力はワイヤー矯正よりも小さく、耐え難いほどの痛みを感じる方はほとんどいません。
    新しいマウスピースに変えた直後(マウスピース矯正では、装着するマウスピースを治療段階に応じて交換していくため)は、圧迫感に似た痛みや違和感を感じますが、これはマウスピースが歯を正しい位置に移動させるための矯正力によるものです。
    マウスピースの交換から時間が経過し、歯が移動すれば収まることがほとんどです

    もし、痛みが強かったり、時間が経っても収まらなかったりする場合は、歯科医師へ相談しましょう。

    マウスピース矯正の仕組みについて

    歯の根本には、歯槽骨(しそうこつ)と呼ばれる歯を支える骨があり、歯槽骨の周りには歯根膜(しこんまく)と呼ばれる組織があります。
    マウスピースの矯正力により、歯が動くと、歯の移動方向側の歯根膜が縮み、反対側は伸びます。
    すると、歯根膜は歯槽骨の両サイドの厚さのバランスを取り戻すため、細胞を作って圧力がかかる側の歯槽骨を吸収し、反対側のすき間には新たな骨を形成します。
    この動作の繰り返しで、歯を少しずつ移動させます。

    また、1枚のマウスピースで移動できる長さは最大で0.25mm程度です。
    1ヵ月間では1mm程度移動させられます。 段階的かつ継続的に力を加えることで、無理なく歯を理想の位置へ導くのがマウスピース矯正の仕組みなのです。

    マウスピース矯正の仕組み

    マウスピース矯正とワイヤー矯正の痛みの比較

    一般的にマウスピース矯正は、ワイヤー矯正よりも痛みが少ないといわれています。主な違いとしては次のようなことが挙げられます。
    マウスピース矯正 ワイヤー矯正
    痛みの強さ 軽〜中度 中〜強度
    痛みの感覚 ・違和感 ・圧迫感 ・窮屈 ・締め付けるような痛み
    痛みのある期間 マウスピース交換直後数日間 矯正器具の調整後数日間
    痛みやすいとき 装着中 ・歯を噛み合わせるとき ・強く噛むとき
    痛みの原因 ・マウスピースによる矯正力 ・粘膜への刺激 ・ワイヤーによる強い矯正力 ・ブラケットによる刺激
    マウスピース矯正とワイヤー矯正で痛みが異なる理由の一つは、歯の移動させ方であるといえるでしょう。
    マウスピース矯正が、何枚ものマウスピースを使用して段階的に歯を移動させるのに対し、ワイヤー矯正は一気に歯を動かします
    その分、歯にかかる力が大きいため、装着後はしばらく痛みが続く場合もあります。

    また、装置の形状の違いも挙げられます。ワイヤー矯正は、固い装置が粘膜や舌にあたって口内を傷つけ、口内炎ができるなどのリスクがあります。
    一方、マウスピースは比較的柔らかい素材であるため、ワイヤー矯正ほど口腔内を傷つける心配はないでしょう。
    ただし、適切に装着できていない場合は、マウスピースでも口内が傷つくリスクはあるため、注意が必要です。

    マウスピース矯正の痛みの原因

    マウスピース矯正の痛みの原因
    痛みは少ないといっても、マウスピース矯正にも多少の痛みはあります。
    その原因としては主に以下の5つが挙げられます。

    歯の移動による痛み

    マウスピース矯正では、マウスピースが歯に継続して力を加えることで、歯槽骨の吸収・再生が繰り返され、徐々に歯が動きます。
    移動の際には神経も刺激されるため、一時的に痛みや圧迫感を感じるでしょう。

    特に新しいマウスピースに交換した直後は、新たに矯正力がかかり、歯は新しい位置に動かされるため、痛みが出やすいといえます。 しかし、数日で収まるケースが多く、不快感も長くは続かないはずです。

    また、歯根膜も歯の移動によって頻繁に伸び縮みを繰り返すために、通常よりは敏感な状態になります。
    歯にかかる力によって刺激への耐性が低下するため、硬いものを噛むなどすると普段は感じない痛みが出る場合があります。

    粘膜が刺激されることによる痛み

    マウスピースはプラスチックの一種であるポリウレタンでできています。
    比較的柔らかい素材ではありますが、歯の状態に合っていなければ粘膜に圧力がかかりすぎ、痛む可能性があります。

    特にマウスピースの縁が、しっかり研磨されていなければ、口内に傷ができてしまうことがあります。ひどい場合、口内炎ができてしまうケースもあります。
    このような場合は、早急に歯科医師に相談し、調整してもらいましょう。

    後戻りによる痛み

    マウスピース矯正では、20〜22時間の装着時間を守ることが非常に大切です。基本的に、食事と歯磨き以外のときは常時マウスピースを装着しておかねばなりません。
    装着時間が短いと、せっかく移動させた歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」が起こります。
    マウスピースを付けると、再び歯の移動が起こるため、新しいマウスピースに交換したときと同じような圧迫感や痛みを覚えるでしょう。

    再び正しく装着を続ければ、歯が適切に移動するため痛みは徐々に収まっていきます。

    ただし、長い期間装着せずにいると、痛みが強いために同じマウスピースを装着できない可能性もあります。その場合は早めに歯科医師に報告し、相談しましょう。

    歯周病や虫歯による痛み

    虫歯や歯周病があるために歯が痛む可能性もあります。
    マウスピース矯正は、装置の取り外しができる分、ワイヤー矯正よりも歯磨きがしやすく、虫歯になりにくいことがメリットです。

    しかし、マウスピースの装着によって、自浄作用のある唾液に歯が触れる時間が短いため、通常時よりは虫歯になるリスクが高まります。
    症状が悪化すると、矯正治療を中断して虫歯治療を優先しなければならない可能性もあるため、注意しましょう。

    また、矯正によって歯が移動する際には、歯茎に負担がかかります。
    普段よりも炎症が起こりやすく、炎症が起こった場合は歯ぐきが腫れて、痛みが出やすい状態です。
    歯周病を予防するためにも、特に矯正期間は、普段よりも歯磨きを丁寧におこないましょう。

    歯周病とは?

    歯周病とは、歯を支える歯ぐきや骨などの組織に炎症が起こる病気で、放置すると歯を失う原因にもなります。
    歯と歯ぐきの間に歯垢(プラーク)や歯石がたまり、細菌が繁殖することで、歯ぐきが腫れたり出血したりします。

    進行すると歯槽骨が溶けて歯がグラつき、最終的には抜けてしまうこともあります。
    初期段階では痛みなどの自覚症状が少ないため、定期的な歯科検診と正しいブラッシングが重要です。


    歯と歯の間に食べ物が挟まることによる痛み

    マウスピース矯正では、歯が徐々に動いたり、歯を移動させるために削ったりして歯と歯の間にすき間ができやすくなります。
    そうすると、そこへ食べ物がつまりやすく、そのまま食事を続ければ、詰まったものが余計に押し込まれ、歯茎を圧迫し、炎症を起こしやすくなります。その結果、ズキズキとした痛みを覚えることもあります。

    食後は歯磨きだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシを使って丁寧にケアを行い、歯と歯の間もしっかり掃除することが大切です。

    マウスピース矯正による痛みを軽減する方法

    マウスピース矯正による痛みを軽減する方法
    痛みは誰でも嫌なものです。矯正期間中にできる限り痛みを感じないようにするためにも、以下のことを実践しましょう。

    矯正の前に歯周病や虫歯を治しておく

    すでに歯周病や虫歯があるなら、矯正治療を開始する前に治療しておきましょう
    マウスピース矯正によって、トラブルのある歯や歯茎に力が加わると、歯周病や虫歯による炎症が悪化し、痛みにつながる恐れがあります。
    特に虫歯は、削ったり詰め物を入れたりすることで歯の形が変わる可能性があるため、基本的に矯正治療と並行しては行えません。
    重度の場合は、矯正治療を中断して虫歯治療をすることになるでしょう。

    一方、歯周病治療なら、矯正治療中でも可能です。
    歯周病が見つかったり、悪化したりした場合は、矯正治療を担当する歯科医師に報告のうえ、速やかに一般歯科での治療を開始しましょう。

    当院には日本歯周病学会認定医が在籍しており、矯正治療中に虫歯や歯周病が見つかった場合にも、迅速に適切な治療を行うことが可能です。
    お口の健康状態を丁寧に管理することで、治療の中断や遅れをできる限り防ぎ、円滑に矯正治療を進められるよう努めています。
    当院の歯周病治療はこちら

    鎮痛剤を処方してもらう

    痛みが耐え難いほど強い場合は、鎮痛剤を服用しましょう。
    ただし、鎮痛剤の中には抗炎症作用があるものが含まれるため、薬剤は必ず医師の処方を受けましょう。歯が移動する際に起こる、歯槽骨の吸収は炎症物質によるものであるため、炎症が抑えられると、十分な矯正効果を得られない可能性があります。
    自己判断で対処せず、必ず歯科医師に相談してください。

    マウスピースを常に清潔に保つ

    マウスピースは少なくとも1日に1回、可能であれば毎食後洗浄しましょう。
    汚れたマウスピースを装着し続けると、細菌が繁殖しやすくなり、歯茎の炎症や口内炎、さらには虫歯や歯周病を引き起こしやすくなるからです。
    悪化すれば、痛むだけでなく、治療の中断や遅れにつながるリスクもあります。

    マウスピースの洗浄は柔らかいブラシや指でやさしく洗い、流水でしっかりすすいで行います。
    また、熱湯での洗浄は変形の原因となるため避け、2、3日に1度は洗浄剤を使用してケアしましょう。

    定期的に受診する

    歯科医師の指示に従い、定期的に状態をチェックしてもらうことも大切です。
    歯の移動状況を確認してもらえる他、痛みがある場合は、解消するために適切な処置を行ってもらえます。

    また、歯や歯茎に炎症が起きていないか、虫歯や歯周病を起こしていないかなども診てもらえるため、痛みの予防も期待できます。
    受診を怠り、事前にトラブルを発見できずに悪化した結果、予定通りに治療を進められない可能性もあります。通院を継続し、不安があればすぐに相談することが大切です。

    マウスピース矯正で痛みが出たときに気をつけること

    マウスピース矯正は、ほとんどの場合、あまり強い痛みはないはずです。
    万が一、痛みが出てしまったときには、以下の点に気を付けましょう。

    マウスピースを長時間外さない

    痛むからといってマウスピースを長時間外してはいけません。
    装着時間が短ければ、歯に十分な矯正力がかからず、歯の移動がスムーズに進みません。再びマウスピースを装着した際に強い痛みを感じる原因となります。

    さらに、せっかく移動した歯が後戻りしてしまう可能性もあり、再度装着した際に痛みがより強くなる可能性もあります。
    その結果、予定通りに治療が進まず、余分な時間や負担がかかることもあるでしょう。

    あまりに痛みが強い場合は、鎮痛剤を服用するか、痛みの少ないマウスピースを着用して、早めに医師に相談しましょう。必要に応じて、追加でマウスピースを作成し、対応するケースもあります。

    鎮痛剤を飲みすぎない

    消炎作用のある市販の鎮痛剤は飲みすぎないようにしてください。
    歯の移動は、骨の吸収と再生という代謝によって起こります。そして骨の代謝は、炎症反応によって起こるため、あまり頻繁に鎮痛剤を服用すると、歯が動きにくくなります。
    そのため、痛みがつらい場合でも、鎮痛剤は必要最低限の使用にとどめることが大切です。
    痛みが長引いてどうしても辛ければ、歯科医師に消炎作用のあまりない鎮痛剤を処方してもらいましょう。

    痛みが続く場合は歯科医院へすぐに相談

    痛みが続く場合は歯科医院へすぐに相談
    マウスピース矯正は、装置交換後の2〜3日程度は痛みがあるものです。
    しかし、あまりに痛みが長引いたり、眠れないほどひどい痛みであったりするなら、装置が合っていない可能性があります。
    すぐに歯科医師へ相談し、調整してもらってください。

    他にも、虫歯や歯周病であったり、装置の縁が尖っていたりするために痛む場合もあります。
    自己判断で放置すると症状が悪化し、矯正治療の中断や再調整が必要になる可能性もあるため、少しでも異常を感じたら、早めに歯科医院を受診しましょう。

    まとめ

    マウスピース矯正をすると、多少の痛みはあるものです。
    歯の移動による痛みなので、基本的に異常なものではありません。
    通常はマウスピース交換後2〜3日程度で治ります。

    ただし、適切にマウスピースを装着しなかったり、虫歯や歯周病があったりした場合は痛みが長引いたり、強かったりすることもあります。
    そのようなケースでは、自己判断せず早めに歯科医師へ相談しましょう。

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    マウスピース矯正の治療期間はどれくらい?

    私は東京医科歯科大学の歯周病専門外来にて、難症例を含む幅広い治療の研鑽を積み、その後は都内歯科医院にてお子さんからご高齢の方まで多くの患者様のお口の健康づくりをサポートしてまいりました。

    患者様一人ひとりの症状やご希望に合わせて、あらゆる治療の選択肢をご提案し、心から納得していただける治療法をお選びいただけます。神保町ミセ歯科・矯正歯科は、患者様との信頼関係を大切に築きながら、ドクター・スタッフともに一丸となって、あなたの健康を末長く支えてまいります。

    マウスピース矯正は、目立たないうえ、取り外しができるため、人気の高い歯列矯正方法です。しかし、従来のワイヤー矯正と比べると「治療期間が長い」といわれるために、少々不安に思う方もいるのではないでしょうか。
    マウスピース矯正の治療期間は一般的に3〜4年程度といわれていますが、ご自身の歯並びの程度によって異なります。管理の仕方や歯の状態によっては想定よりも長引くケースもあるため、注意が必要です。

      本記事では、マウスピース矯正に必要な期間を歯並びの状態ごとに紹介する他、治療期間が長引く可能性のある要因についても解説します。

      マウスピース矯正の治療期間

      マウスピース矯正にかかる治療期間は全部で3〜4年程度が目安です。マウスピース矯正の治療期間には、動的治療期間と保定期間の大きく2種類の期間があります。 動的期間とは、歯を動かして歯並びを整える期間です。治療期間は歯列の状態により、軽度の場合は半年から1年程度で済みますが、重度であれば2年以上かかるケースもあります。 一方、保定期間とは整えられた歯が後戻りしないようにするための期間です。一般的な目安は1〜3年程度ですが、装置を正しく装着しなかったり、歯ぐきや骨の状態が悪かったりすればさらに長くかかる場合もあります。

      動的治療期間

      動的治療期間とは、歯を移動させる期間のことです。マウスピースを毎日、できる限り長い時間装着して歯列を整えます。 治療期間は、歯並びの状態によって大きく変わり、軽度の歯並びであれば、一般的に半年から1年程度で終了します。また、中等度の場合は歯の移動がより複雑になるため、1年から2年ほどは必要になるでしょう。一方、重度になると、2年以上の長い期間を要することも少なくありません。

       

      軽度の歯並び改善(半年~1年)

      軽度の歯並びとは、主に次のような状態をいいます。歯並びが「悪い」というほどではなく、歯列の乱れもそれほど目立ちません。

       
      • 前歯が1〜2mm程度ずれている
      • いわゆる「すきっ歯」で歯と歯の間に小さな隙間がある
      • 歯が少しだけ重なっている部分がある
      • 噛み合わせが少しずれている

      この程度の歯並びであれば、必ずしも矯正治療をする必要がなかったり、問題の箇所だけ治療する部分矯正で済んだりするケースもあります。矯正治療をするにしても、大幅に歯を動かす必要がないため、歯の角度を少し調整したり、少し移動させたりするだけなので、半年から1年程度と短期間で終了するでしょう。

      軽度の歯並び改善(半年~1年)

      中等度の歯並びとは、主に次のような状態をいいます。

      • 軽度の「出っ歯」で前歯が出ている
      • 歯と歯が重なり合う「叢生(そうせい)」が目立つ部分がある
      • 歯と歯の間に目立つ隙間がある
      • 歯の一部が上下の歯の噛み合わせが逆で「交叉咬合(こうさこうごう)」になっている

      中等度の場合、歯の移動が大きく、かつ複雑に動かす必要があるため、治療期間が長くなります。一般的に1年から2年程度は必要になるでしょう。マウスピースを定期的に交換しながら、徐々に理想の位置に歯を導いていきます。

      重度の歯並び改善(2年以上)

      重度の歯並びとは、主に次のような状態をいいます。一部ではなく全体の歯列を整える必要があったり、あごの骨に問題があったりするケースもあります。

      • 歯と歯が重なり合う「叢生」が歯列全体に見られる
      • いわゆる「受け口」で「反対咬合(はんたいこうごう)」や「下顎前突(かがくぜんとつ)」が見られる
      • いわゆる「出っ歯」で「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」が見られる
      • 前歯が噛み合わない「開咬(かいこう)」が見られる

      症状によっては歯の移動だけでなく、抜歯や外科手術が必要な場合もあります。そのため、治療期間は長引く傾向があり、2年以上かかるケースもあるでしょう。従来はワイヤー矯正でなければ治療が難しい場合がほとんどでしたが、技術の向上によりマウスピースによる矯正が可能な症例も増えてきました。

      保定期間

      マウスピースによる歯列矯正が終わっても、治療は終了ではありません。リテーナーという装置をつけて、歯並びの後戻りを防ぐ保定期間が必要です。これは、元の位置に戻ろうとする歯の性質、移動直後は歯を支える骨や歯ぐきの不安定なことがその理由です。
      保定期間は一般的には2〜3年程度とされています。マウスピースの使用期間に比例して長くなり、マウスピース矯正による治療期間に半年ほどプラスした年数が目安です。
      ただし、歯ぐきや歯の骨の状態がよくなかったり、歯科医師の指示を守って装着しなかったりすれば、さらに長い期間が必要になる可能性もあります。

      マウスピース矯正とワイヤー矯正の治療期間の違い

      マウスピース矯正とワイヤー矯正の治療期間には大きな違いはありません。以前は、マウスピース矯正の方が歯の移動量が少ないといわれ、時間がかかるとされていました。
      しかし、現在では技術が進歩し、ほとんど違いがないといえます。それぞれの治療期間の目安は以下の通りです。

      治療方法 治療期間の目安 1ヶ月あたりの歯の移動量
      マウスピース矯正 1~3年程度 0.3mm~1.0mm
      ワイヤー矯正 1~3年程度 0.5mm~1.0mm

      ただし、上記はあくまで目安であり、どちらが短いかは症例によります。複雑な歯並びであれば、ワイヤー矯正の方が早いケースが少なくありませんし、歯の隙間を埋めるなど横並びだけが問題の場合はマウスピース矯正の方が早い可能性があります。

      マウスピース矯正が長引いてしまう場合

      マウスピース矯正は、想定よりも治療期間が長引くことがあります。その原因は様々で、マウスピースの装着時間が短かったり、定期的な通院が難しい状況だったりすることが影響します。また、歯の動きが予想よりも遅い、治療中に虫歯や歯周病が見つかる、追加治療が必要になるといったことも、治療期間の延長につながります。
      ここでは、これらのマウスピース矯正が長引く原因と対処法について解説します。

      歯周病についてはこちら →

      マウスピースの装着時間が短い

      マウスピースは1日あたり20~22時間は装着しなければなりません。装着時間が短いと、歯が元の位置に戻ろうとする力が働くために、予定通りに歯を移動できません。次のマウスピースへ交換する期間を長くせざるを得なくなり、結果的に治療期間が長引いてしまいます。
      マウスピース治療のメリットの一つは、取り外しができることですが、途中で外しすぎないように注意しましょう。食事や歯磨きのとき以外は常に装着しておくことが大切です。

      定期的に通院することができない

      矯正治療期間中は1ヵ月に1度、少なくとも2〜3ヵ月に1度の頻度での通院が必要です。これは歯科医師が計画通りに治療を進められているかを確認し、必要に応じてマウスピースの調整や装着時間の見直しをするためです。そのため、できる限り予約を守って来院する必要があります。
      しかし、仕事やさまざまな事情から通院が困難になる場合もあるでしょう。それが1年に1、2回程度であれば、大きな影響はありません。しかし、あまりに頻繁であれば問題です。歯が予定通りに移動せず、治療計画を見直さざるを得ない可能性もあります。治療期間をむやみに長引かせないためにも、予約日の来院が難しくなった場合は予約を変更し、来院頻度を下げないようにしましょう。

      歯の動きが遅い場合

      歯が移動するスピードは患者さんによって異なります。人によっては平均よりも遅いために治療期間が長引いてしまうこともあるでしょう。一般的に次のようなケースでは、歯の動きは遅いとされています。

      • 歯が小さく短い:歯の移動に必要な働きをする歯根膜が小さいため
      • ねじれた歯が多い:移動の前に歯の回転が必要なため
      • 年齢:年齢が高くなるにつれ、代謝も落ちるため

      虫歯や歯周病が見つかった場合

      矯正治療中に虫歯や歯周病が発見された場合、矯正治療を中断し、それらの治療を優先して行います。これは、虫歯や歯周病になると歯を支える組織が破壊されてしまい、そこに矯正の力が加わることで余計にダメージを与えてしまう可能性があるためです。
      また、虫歯治療で歯の形状が変わってしまえば、もう一度型を取ってマウスピースを作り直さねばなりません。作成には少々時間がかかるため、その間は治療を中断せざるをえないでしょう。
      さらに、重度の歯周病の場合には治療に数ヵ月かかることもあります。その間矯正治療はできないため、終了が大幅に延びてしまうケースもあるでしょう。
      マウスピース矯正は取り外しができるため、歯磨きがしやすい一方、自浄作用のある唾液に歯が触れる時間が少なくなるため、普段よりも虫歯になるリスクは上がります。矯正治療中はより丁寧なケアを心がけたいところです。

      追加治療が必要となった場合

      これまで紹介してきたような理由で、当初の想定よりも歯が移動しなかった場合には、追加治療が必要になる可能性があります。マウスピースの数を増やして治療を継続するため、治療終了までの時間も延びます。追加治療を避けるためにも、以下のようなことを実践しましょう。

      • 定期検診を必ず受ける:問題が小さなうちに対処できる
      • 装着時間を記録する;アプリを活用するなどして、装着時間を守る
      • 生活習慣の見直し:歯ぎしりや甘いものをよく摂取する食習慣など、歯にダメージを与えやすい習慣を改善し、歯や歯ぐきのトラブルを予防する

      まとめ

      マウスピース矯正の治療期間は一般的に3〜4年程度が目安です。ただし、期間は歯並びの状態によって異なります。軽度の場合は半年から1年程度で終了しますが、重度なら2年以上かかる可能性もあります。加えて、2〜3年程度の保定期間も必要であるため、短い場合でも3年程度、長ければ5年以上かかるのです。
      また、マウスピースの装着時間が不足したり、定期的な通院をしなかったりした場合や、歯の移動が遅い、虫歯や歯周病の発見などがあれば、予想以上に長引くケースもあります。計画通りに治療を進めるためにも、治療期間中は必ず歯科医師の指示に従い、不安な点があれば早めに相談するようにしましょう。

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      出っ歯はマウスピース矯正だけで治る?

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      前歯が出ている、いわゆる「出っ歯」が気になり「矯正治療をしたい」「マウスピース矯正で治せるのだろうか?」などと悩んでいませんか?
      出っ歯は「マウスピース矯正」でも治療できます。ただし、原因や症状によっては難しいケースもあり、あらゆる症例に適用できるわけではない点には注意が必要です。

        本記事では、出っ歯の治療にマウスピース矯正が適するケースと難しいケースの他、部分矯正と全体矯正の違い、矯正治療にかかる期間や費用について紹介します。マウスピース矯正を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

        マウスピース矯正で出っ歯は治るのか?

        出っ歯のマウスピース矯正は、その重症度やブランドによって治療できる場合とできない場合があります。
        改善可能なのは、次のような軽度〜中等度の出っ歯の方です。

        • 骨格に問題がなく、歯の傾きが出っ歯の原因である
        • 前歯の重なり具合が少ない
        • 前方への突出が軽度

        一方、次のような重度の症状は、マウスピース矯正では治療できない可能性が高いといえます。ワイヤー矯正による治療の他、外科手術を必要とするケースもあるでしょう。

        • 骨格が原因で歯が前に突き出している
        • 上の歯が下の歯よりも6mm以上出ている
        • 歯を大きく移動させねばならない

        また、マウスピースはブランドによって、対応できる症例の範囲が異なります。そのため、ご自身がマウスピース矯正ができるかどうかは、歯科医師によるカウンセリングを受けて判断してもらいましょう。

        そもそも出っ歯とは?

        出っ歯とは、上の前歯が下の前歯よりも前に出ている状態をいいます。正式には「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」と呼ばれ、歯の傾きや顎の骨格によって生じる症状です。
        出っ歯かどうかの基準は、上の前歯が出ている程度です。下の前歯より出ている長さが3mm以内であれば出っ歯とはされず、4mm以上であれば出っ歯とされます。
        放置すると、見た目の問題だけでなく、健康上様々な問題が生じる可能性があります。ここでは、出っ歯になる原因や、放置するリスクについて解説します。

        出っ歯になる原因

        出っ歯になる主な原因としては、遺伝によるものと、歯並びに悪影響を与える習慣によるものが挙げられます。

        遺伝によるもの

        親や祖父母が出っ歯の場合、その骨格的な特徴が子どもに遺伝して出っ歯になることがあります。特に次のような要素が遺伝すると、出っ歯になりやすいでしょう。

        • 上顎が大きい
        • 下顎が小さい
        • 歯が大きい

        これらの遺伝的要素が発現すると、歯と顎のバランスが合いません。例えば、顎が小さいのに歯が大きいと、歯が並びきらずに前方に押し出され、出っ歯となるでしょう。

        また、遺伝が原因の場合、骨格によって出っ歯となるため、マウスピース矯正だけでは対応できない可能性もあります。

        習慣によるもの

        日々の悪習慣によるケースもあります。具体的には次のような癖があると出っ歯になりやすいでしょう。

        • 幼少期の指しゃぶり:指をくわえることで前歯が前方に押し出され、噛み合わせがずれる
        • 爪を噛む:前歯や上顎に圧力が加わるため、前歯が押し出される
        • 舌で前歯を押す:前歯に圧力がかかり出っ歯になる。下の位置や噛み合わせに問題があるケースが多い
        • 口呼吸:舌の位置が下がり、上顎の成長を妨げるため出っ歯になりやすい
        • 舌を噛む:前歯に圧力がかかり出っ歯になりやすい

        悪習慣が原因の場合は、骨格まで問題が及んでいないケースも多いため、マウスピース矯正によって治療可能な症例が多いといえます。ただし、後戻りしないためには癖を改めることが大切です。

        出っ歯を放置するリスクについて

        出っ歯症状は、見た目の問題だけでなく、次のような健康上のリスクもはらんでいます。

        リスク 内容
        虫歯や歯周病になる 口を閉じにくいために口呼吸になりやすい。口腔内の乾燥によって自浄作用のある唾液の量が減り、歯垢がたまりやすくなる
        食べ物を噛みにくい 硬い食べ物を噛み切りにくく、食べにくい。また、全体の噛み合わせが悪くなると、しっかり噛めないために胃腸への負担が大きくなる
        顎関節症になりやすい 上下の前歯が適切に噛み合わないため、下顎が前後に動く際に不自然な力が加わる

        このようなリスクを防ぐためにも、出っ歯は放置せず、早めの治療が望ましいといえます。

        出っ歯を治すのに部分矯正と全体矯正どっちがいい?

        出っ歯の矯正には、部分矯正と全体矯正の2つの方法があります。どちらが適しているかは症状によって異なり、必要な治療期間や費用も異なります。ここでは、部分矯正と全体矯正の違いについて紹介します。

        症状による矯正方法の違い

        部分矯正と全体矯正のどちらがよいかは出っ歯の程度によります。

        次のような軽度の症状である場合は、部分矯正で治療可能です。

        • 骨格に問題はない
        • 噛み合わせは正常
        • 歯と歯が重なり合っている部分があまりない

        部分矯正には費用や治療期間を抑えられるというメリットがあります。

        一方、次のような場合は全体の矯正が必要です。

        • 骨格に問題がある
        • 奥歯の噛み合わせが悪い

        全体矯正は時間がかかりますが、根本的な改善が可能です。
        どちらが適しているかは歯科医師に相談し、アドバイスを受けましょう。

        治療期間の比較

        マウスピースによる部分矯正と全体矯正では、治療にかかる期間が大きく異なります。具体的な目安としては以下のとおりです。

        矯正方法 治療期間の目安
        部分矯正 数ヶ月〜1年程度
        全体矯正 1年〜3年程度

        部分矯正の方が動かす範囲が限られるため、治療は短期間で終了します。一方、全体矯正は治療期間は長くなりますが、根本的な歯並びを改善でき、噛み合わせもよくなります。

        費用の比較

        マウスピースによる部分矯正と全体矯正では、治療にかかる費用も異なります。具体的な目安は以下のとおりです。

        矯正方法 費用の目安
        部分矯正 30万〜70万円
        全体矯正 80万〜150万円

        ただし、上記はあくまで目安です。矯正治療は自費診療となるため、クリニックによって異なります。具体的な見積もりは、実際にクリニックを訪れて尋ねてみましょう。

        マウスピース矯正で治すのが難しい出っ歯の症状

        マウスピース矯正で治せるのは、歯並びの乱れの程度が軽度〜中等度の場合です。以下のような重度の症状や骨格に問題がある場合は難しく、ワイヤー矯正を検討せざるをえないでしょう。抜歯や手術が必要な可能性もあります。

        骨格が原因となっている出っ歯の場合

        骨格が原因の出っ歯とは、上顎が大きく成長していたり下顎が小さかったりするために前歯が出て見える状態です。口の中の歯並びには問題がないケースも多くあり、歯を移動させても改善が見込めないため、マウスピース矯正だけでは治療できません。ワイヤー矯正だけでも治療が難しい場合もあるでしょう。手術による顎の骨の調整といった外科的処置の併用を検討する可能性もあります。

        重度の出っ歯の場合

        歯並び全体が著しく悪いために、重度の出っ歯となっている場合もマウスピース矯正だけでは治療が難しいことがあります。歯を大きく動かす必要があったり、歯を動かすスペースがなかったりする症例などが該当します。ワイヤー矯正による治療の他、抜歯などの外科的処置が必要になる可能性もあるでしょう。さらに、上顎と下顎の位置関係が大きくずれている場合には、顎の骨を切って位置を調整する手術を併用することもあります。

        ご自身の症状がマウスピース矯正で治療できるのかどうかの判断は、専門の歯科医でなければ難しいものです。ぜひ矯正歯科医師に相談し、適切な治療法を選択しましょう。

        マウスピース矯正で出っ歯を治す場合の注意点

        マウスピース矯正は目立たずに出っ歯の治療ができるため、見た目を気にする方にとっては、非常に魅力的な方法です。しかし、正しく装着しなければ治療効果を得られなかったり、骨格の問題や出っ歯の程度が重度でなくても選択できなかったりする場合もあるため、注意が必要です。

        マウスピースの装着時間を守る

        取り外しができることはマウスピース矯正のメリットの一つです。食事や歯磨きの時に外せるため、ワイヤー矯正と比べるとストレスを感じにくいでしょう。

        しかし、その分自己管理が必要で、1日20~22時間の装着時間を守ることが非常に重要です。装着時間が不足すると、次のようなことが起こりえます。

        • 歯が予定通りに動かず、治療期間が延びる
        • 歯が元の位置に戻ってしまう
        • マウスピースが合わなくなる

        マウスピースは歯に力をかけて徐々に移動させるものです。長時間外してしまうと、歯が予定通りに動かないばかりか、元の位置に戻ってしまうリスクもあります。1日付け忘れた程度では大きな影響はありませんが、それが頻繁に続くと、マウスピースが合わなくなり、装着できなくなる可能性もあります。

        マウスピースを外す時間はできる限り短くし、決められた装着時間を守ることが大切です。

        インプラントが多いと矯正治療ができない場合がある

        マウスピース矯正を含む矯正治療は、歯を少しずつ動かして正しい位置に誘導するものです。しかし、顎の骨に固定されているインプラントをしていると、歯を移動させるスペースを作れず、矯正治療ができない可能性があります。全く治療できないわけではありませんが、本数が多いと難しいでしょう。

        また、インプラントの部位によっても矯正治療ができない可能性があります。特に出っ歯を治したいけれど、上の前歯がインプラントであるような場合は、動かせないため、マウスピース矯正による治療はできないでしょう。治療できるケースもありますが、理想の歯並びにするのは難しいかもしれません。

        インプラントがある方の矯正治療が可能かどうかは、症例によるため、矯正歯科でよく相談しましょう。

        まとめ

        出っ歯は軽度から中等度であれば、マウスピース矯正で治療可能です。しかし、骨格が原因であったり、重度の症例であったりする場合には適用が難しい可能性があります。ご自身の場合に適用可能かどうかは専門の歯科医師に相談して判断してもらいましょう。

        また、マウスピース矯正による治療効果を得るには、1日20〜22時間の装着時間を守ることも大切です。

        出っ歯の悩みを納得できる形で解消するためにも、専門の歯科医によく相談し、ご自身の歯の状態に合った治療法を選びましょう。

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